企業などの組織や団体、個人の働き方を前進させることに貢献した取り組み・活動・制度・組織文化の創造など

ACTION部門グランプリ

ワンぽてぃと

ひきこもりや不登校をサポートする新たな働き方の実現

自由な出社・退社の選択と超フレックスタイム制を導入。社会復帰を目指すための第一歩に

ひきこもりや不登校の方たちが、社会復帰を目指すための第一歩となる働き方がないことに着目。当事者の方たちは、長時間働くことや毎日会社に出勤することは難しく、人との交流や社会との繋がりを徐々に持てるようにする必要があった。
そこで自由に出社・退社が選択でき、一般企業のように賃金を支払うシステムを運用。ひきこもりや不登校に理解ある方々と訓練でき、安心して働きながら自信をつけて日々向上していける仕事場を提供した。また、15分から働くことができ、時給も発生する「超フレックスタイム制」を実施。出社日のルールは設けずに当事者の状況に合わせて働くことを可能とした。メディアを通して、取り組みを理解いただいた方が来店されることで当事者の働きやすさを実現し、はじめはキッチンで声も出せなかった方が、料理を運べるくらいに成長していく姿を何度も見ることができている。実際に就職に結びついた方も多数いらっしゃる。

講評

現在の日本では、100万人を超える大変多くの方が、ひきこもり状態にあると推定されています。これだけ世の中がややこしくなってくれば、多くの方が生きづらさを感じるでしょうし、社会との距離をとろうとする人も多いのではないかと思います。1日15分から、柔軟に働くことができるこのカフェは、そうした方々にとって、少しずつ社会との接点をつくって生きるきっかけが作れる場所なのだと思います。今後こういう場所が増えていけば、世界はきっと、少しずつ良くなる。そんな希望が感じられました。(伊藤 羊一)

グランプリ、おめでとうございます。引きこもりの当事者にとって、社会復帰を目指す第一歩となる働き方を提供されていると思います。引きこもりのきっかけは、就職活動がうまくいかなかった、職場に馴染めなかったなど就労に関するつまずきが原因の多くを占めています。「15分から働ける」カフェは、心理的な圧迫をできるだけなくしています。途中で苦しくなって帰ったとしても、責任を全う出来なかったとはならない。失敗体験を積まさない。素晴らしいイノベーションのアイデアだと思います。社会との接点を持ち、社会に役立てていることを実感できる。そうした機会の積み重ねができることは当事者にとってかけがえのない価値だと思います。(馬渕 磨理子)

ACTION部門賞

株式会社NEXT LEVEL

少子高齢化を問題とだけで捉えるのではなく、高齢者の個性、特性を生かした高齢者雇用の笑始高齢化飲食店運営

60歳以上の女性従業員のみを雇用し、特性を活かした接客や商品開発を実施

認知症の治療として仕事をすることが効果的だが、高齢者が働ける環境は少ない。奥芝商店でも従業員は若年層が多かった。そこで、主婦業を長年行ってきた高齢者女性に着目し、60歳以上の女性従業員しかいない「スープカレーおくしばぁちゃん」を開店。コンセプトに合った接客マニュアルを彼女らが考案し、昭和当時の雰囲気を再現した。また、彼女らに商品開発アイディアも投げかけ、副菜などを商品化し提供した。
結果として優れたSDGs活動であると札幌商工会議所より表彰を受けたほか、従業員の応募が殺到し、人材不足問題を解消した。コンセプトと高齢者女性ならではの接客が話題になり行列のできる繁盛店になった。

株式会社すかいらーくホールディングス

ファミリーレストランでの配膳ロボット3,000台導入と日常への定着による多様な人財の活躍推進

ネコ型配膳ロボットの導入により、従業員の増加と働き方の改善を実現

コロナ禍を経て店舗体験価値の向上は一層重要となり、人財育成の取り組みを強化する必要があった。その一環としてDXの活用で新たな店舗体験価値や働き甲斐、雇用の創出の実現を目指した。
コンセプトとして、ロボットによる業務改善を進める一方で、人にしかできないサービスを充実させ、働き甲斐を醸成することがあった。
実際に、ネコ型配膳ロボット3,000台をグループ約2,100店舗に導入。インストラクターが全国の店舗でレクチャーや改善を重ね、成功事例をグループ全体に横展開し、個店ごとにデータを分析した。従業員の身体的な負担は軽減し、65歳以上の従業員は5年間で約3倍になるなど環境整備につながった。業務が覚えやすくなり働き方にも寄与した。

医療法人社団 仁生会 甲南病院

日勤者と夜勤者を視覚化することで交代の意識を高め、残業削減とワークライフバランスを充実させる

マスクの色で日勤者と夜勤者を区別化し、月残業時間が大幅減少

日勤と夜勤を視覚化し、申し送りを効率化することで残業時間の削減を狙った。また、勤務終了者が明確になることで労いの言葉を掛けやすくなるなど、働きやすい職場作りの風土と帰属意識の向上を図った。具体的には、マスクの色での日勤者と夜勤者の区別化を実施。勤務終了時刻が過ぎた人を分かりやすくすることを試みた。
マスク着用はもともと習慣化していたがコロナ禍により以前にも増して定着。前年度と比較した結果、月残業時間が大幅に減少した。夜勤者の把握や残業時の声掛けも生まれたほか、新聞社の取材や他施設から見学希望が複数あった。

邦美丸

完全受注漁による持続可能な漁業と地域経済の革新

注文に基づき漁獲量を調整。後継者問題や水産資源の持続的利用に貢献

漁業を取り巻く問題として、不安定な収入や長時間労働、高齢化や後継者不足などが存在する。また、過度な漁獲により持続可能な水産資源の確保が困難な状況だった。
そこで完全受注漁では、既存のECサイトやSNSを活用して漁の受注を行い、注文に基づいて漁獲量を調整。SNSで魅力的な職業・働き方をアピールした。自ら価格設定することで収入を安定にし、後継者問題の解決や、無駄な漁獲をさけ水産資源を未来に残すことにも繋がる。
結果として操業時間は14時間から6時間へと減少、売上は2倍に。YouTube動画は500万回再生を記録し、求人応募が2倍に増加した。50社のメディアの取材や他アワード の受賞、小泉進次郎氏との対談も実現。海外からも評価を受けている。

働き方の課題解決や働きやすさを前進させることに貢献したプロダクト・サービス・コンテンツなど

PRODUCT部門グランプリ

VALT JAPAN株式会社

就労困難者特化型BPOプラットフォーム「NEXT HERO」

福祉と経済の断絶を埋めるプラットフォームを設立し、就労困難者を支援

働きたいのに働けない人がいるという不均衡がある中で、単に企業と障がい者をマッチングさせるだけでは障がい者のスキルや特性を見極めていないことが多く、業務が持続しないことが多い。
そこでVALT JAPANが受注窓口となってBPOの仕事を請け負い、全国の就労継続支援事業所に業務を分配するという、福祉と経済の断絶を埋めることをコンセプトにしたプラットフォームを設立した。実施内容としては、社員がディレクターとして企業と就労継続支援事業所のハブとなり、業務の切り出しやハンドリング等を担当。福祉的思想で就労困難者を支援するのではなく、企業の戦力として就労困難者を活躍に導いた。
その結果、事業所のワーカーの賃金(工賃)が増加し、中には人生で初めて一人暮らしを始めた方もいる。現在、ワーカー数は4万人になり、2,000事業所・累積400種類以上の仕事を受注。

講評

この度は受賞おめでとうございます。
身体の障害以上に、仕事を見つけることが困難な発達障害や精神障害の方たちの可能性を広げる事業だと思います。仕事に就けないだけでなく、仕事があっても不当に安い料金で請け負うことも多いと、経済的自立もなかなか望めません。それは本人だけでなく家族にとっても非常につらいことであり、将来への展望も持ちづらいことでしょう。
そういった現実と大きな課題に向き合い、障害があってもできることはあるという可能性を信じ、発注元企業を開拓されたこと、適正な価格で受注される仕組みを作られたことは非常に意味があります。また就労困難だと思われていた方たちが実際働く姿を見せていくことで、社会や企業にある偏見を払拭することにもつながると思っています。(浜田 敬子)

本取り組みは、就労困難者が活躍できるプラットフォームとして、新たな雇用を作り出す社会的機能としての意義と可能性を感じます。
就労者、継続支援事業所、企業をつなぐ懸け橋になることで、企業と就労者の双方にとって、今まで認識できなかった就労機会の選択肢を生みだしています。
人手不足が深刻化する一方で、潜在的な労働力と就労機会とのミスマッチが多く存在していた問題を浮き彫りにし、「規模と範囲の経済」を活かして解決する試みは、働き手にとっての所得やQOL向上と、社会全体の人手不足の解消に繋がる画期的なモデルです。(松江 英夫)

ACTION部門賞

野田配管工業株式会社

教育型建設業マッチングサービス「現場のヒーロー」

発注者と職人の直接マッチングシステム構築により、スキルアップと人材不足解決を目指す

技術のある職人の引退、若い人材の育成不足による技術の低下から施工不良が蔓延し建設コストが増大していること、下請け構造で職人の収入が低いことが課題。
そこで発注者と職人を直接マッチングするシステム「現場のヒーロー」を構築した。技術ランク認定試験により、自分の技術ランクを認識しマッチング先の募集ランクにあった応募ができる。また、職人が技術知識を得て、作業完了までの一連の知識を学べる動画講座「現場の極意」と、作業ミスを減らすための作業効率化アプリ「配管七つ道具」を実装。
現場のヒーロー会員数は1,193名。配管七つ道具は28,000ダウンロード、SNS動画は1,000万回再生、SNSは計38,000フォロワーを達成した。

日本テレビ放送網株式会社

AIモザイク編集ソフト「BlurOn」

手作業が占めていた映像のモザイク入れ業務をAIで自動化。作業時間の90%を削減

TV・映像業界ではモザイク入れが大きな手間になっている。単純な手作業のためモチベーションが低下しやすい一方で、年々個人情報保護の要求が高まり作業は増加傾向にある。
AIを用いてモザイク入れ作業の課題解決を目指すことをコンセプトにプロジェクトを始動。映像業界全体の働き方改革の一環として社外へ展開した。NTTデータと共同でPoCを開始し、AI技術でモザイク入れ作業を自動化できる「BlurOn」を昨年7月にリリース。認識精度は99%で、作業時間を最大90%削減することに成功。導入した制作現場の働き方改革に貢献したほか、TV局以外の映像業界やドラレコや車載カメラ映像を取り扱う自動車業界などにおいてもリーチを拡大した。

株式会社フォーデジット

株式会社レキサス

しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄

MOM FoR STAR(マムフォースター)

シングルマザーのスキルアップ支援で、女性の就労問題とデジタル業界の人材不足に貢献

沖縄のシングルマザーの就労問題と全国的なデジタル人材不足の問題、相互にメリットのある仕組みの構築を目指し、プロジェクトを開始。参加するシングルマザーは未経験から研修し、研修後には東京の企業の業務を沖縄の平均水準以上の時給で働き続けられる体制になっている。また、研修中から時給制で雇用し、新しいチャレンジを経済的にもサポートできる支援体制となっている。
プロジェクトは3年目。通算14名のメンバーと34名の子供達。チャレンジする母親の姿を見て子供達が家事を分担しあったり、不登校だった子が進学を決めたりと、子どもたちにも様々な変化が起きている。沖縄の社会課題解決の事例としてテレビ・新聞などに掲載され、女性の活躍推進の事例として政府勉強会にも取り上げられた。

株式会社Lively

話を聴くが仕事になる「LivelyTalk」

話を聞いてもらうWebサービスの開発により、聴く力を持つ人が能力を活かせる仕事をつくる

望まない仕事で心を消耗してしまう人や、自分は価値のない人間だと孤立してしまう人がいる一方で、聴く力を持った人が能力を活かせる仕事が普及していなかった。
そこで、話を聴くのが得意な方を募集し、多種多様な人に有料で話を聴いてもらうWebサービス「LivelyTalk」をリリース。オンラインで好きな場所・時間に自分のペースで働ける仕事をつくることで問題の解決を図った。業務は聴くことに特化した内容にし、それぞれの人生経験を活かした働き方と、成長の機会と仲間を得られる仕組みを目指した。
聴く仕事の応募者数は4,122名にのぼり、審査を合格した聴き手が現在109名在籍。半年間の利用者は延べ1,000名を超え、社会のニーズに応えている

働き方や取り組みが、世の中に新たな気づきや前向きな影響を与え、働きやすさを前進させることに貢献した方

PERSON部門グランプリ

お笑い芸人

ぼる塾

柔軟で持続的な働き方を4人で考え 実践

“無理をしない”をテーマに、長くお笑い芸人として活動できるよう働き方を工夫。時間が変則的なテレビ収録には3名体制、舞台には4名体制、育休明けの酒寄さんはエッセイやコラムでも活動するなど、 時短や変則体制を取り入れる。ライフスタイルを守り、希望のライフプランを実現するために、柔軟に働き方やチーム編成をメンバーで対話しながら作り上げていく様子が SNS やコラムでオープンにされていることもあり、業界のこれまでのあり方にとらわれずメンバーで支え合いながらカルテットを成長させていく様子が多くの働く女性の支持を得ている。

講評

お笑いというエンターテインメントは、芸人の方々が多少の無理をしてでも体を張り、見る側にとって非日常的に感じる行動をすることで成立する。
僕自身、いち視聴者としてバラエティ番組を見て育ってきて、それが当たり前だと思っていました。
当然、人によってはそのような働き方はサステイナブルではなく、ライフワークバランスに課題を感じることもあったと思います。
お笑い芸人であっても"無理をしない"働き方をして、自己成長と自己実現を追い求めた持続可能な活動ができる。
ぼる塾さんの活躍をきっかけに、そのような意識が業界に広がることに期待します。(芹澤 雅人)

国民から愛される「ぼる塾」さんは「産休」の仲間を大切にする優しさが溢れています。テレビでは3名で活動し、舞台では4名の時もある。同じ価値を持ち、同じ時間を共有し、同じ働き方を“しなくていいんだよ”。“それでも一緒にいる”。受賞コメントで印象的だったのが「これができる」「これはできない」をメンバーで共有している姿でした。「多様性」が広がるなかで、価値観が合わなければ離れていくことが当たり前になる社会に不安を感じていました。しかし、人生を進める中で価値観が枝葉のように分かれていっても、一緒にいられる。彼女たちの中に真の多様性の姿を見たように思います。(馬渕 磨理子)

PERSON部門賞

光文社『VERY』統括編集長

今尾 朝子

働く子育て世代の読者の悩みに寄り添い、発信を続ける

『VERY』編集長就任後、子どもができてからは17 時半に退社する働き方を選択するなど、女性編集長が後に続くよう働き方を工夫しながら現在は統括編集長として業務を継続。編集長就任後、メイン読者として「専業主婦」だけでなく「働きながら育児をする女性」にもフォーカスしていった。完璧な家事育児でなくても良いことを伝える企画や、忙しい中でのパートナーとのコミュニケーションのもやもやを考える企画など、読者と向き合い誌面に反映する。ターゲットの価値観をアップデートし支える媒体 となっている。

名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授。博士(教育学)

内田 良

教員の長時間労働を見える化し、改善のための研究・啓発に取り組む

教育現場を変えるための署名や提言を多数行うほか、著書で教育現場の変革を訴える。
これまで参加した署名や提言の代表的なものとして、給特法に関する署名 (2018年)、変形労働制に関する署名 (2019年)、給特法に関する署名(2022年) 、給特法見直し議論に向けた提言(2023年)がある。
特に、教員の残業が無かったことにされてしまう原因の 一つ「給特法」に関しては、「給特法のこれからを考える有志の会」の一員として、法律の廃止はじめ労働環境の改善を求める活動を行う。有志の会 のみならず 、これまでも教育現場の環境改善のために活動し、多くのメディアに取り上げられてきた。

FC町田ゼルビア 監督

黒田 剛

組織の役割分担・コンセプトの共有を軸に、コミュニケーション力でチームをまとめる

FC町田ゼルビアの経営基盤が代わり、選手もほぼ一新され新しいチームになったタイミングで監督に着任。青森山田のサッカー部監督時代から重要視してきた組織の役割分担を実施。監督がすべてを担うのではなく、監督・コーチ含むスタッフ・選手の一人ひとりが自分の役割を理解し、そのポジションで責任感を持って進めることで、ブレない自立した組織を作る。また、チームのコンセプト・進むべき道を細かいコミュニケーションで徹底的に共有。リーダーとしての手腕、なかでもコミュニケーション力は、企業の代表取締役が評価するほどで、ビジネスのチームビルディングにも通ずる。
こうした組織改革の成功もあり、今年就任初年度で、チームをJ1昇格へ導いた。

俳優・映画監督

斎藤 工

日本の映像業界における変革とカルチャーの継承に取り組む

映画やドラマの撮影現場で働く女性の多くが、妊娠・出産を機に辞めざるを得ないことへの問題意識をきっかけに、5年前から撮影現場に託児所を設置する取り組みを行う。また、厳しい制作予算のしわ寄せがキャストの食事に向き、心身に影響を及ぼすことから現場で手配する食事に気を配るなど、映像制作現場の環境変革に取り組む。
さらに、働き手不足や閉館が相次ぐミニシアターへの支援や、劇場が少なくなった地域での移動映画館の実施など、カルチャーを絶やさず継承するための、あらゆる環境の改善・改革に取り組む。Mini Theater Parkというプラットフォームを立ち上げ、シアターの収益になる仕組みのグッズ販売など、活動と影響の幅を全国に広げている。

株式会社わざわざ代表取締役

平田 はる香

“健康的な経営”を長野県から推進・拡大

顧客・生産者・従業員・企業が健康的に産業をつなぐという健康経営のありかたをより多くの人に知ってほしいという考えから「知る人ぞ知る店」を辞め、東京から長野へ移住し1人で開業。
2020 年度には従業員 20 数名で年商が 3 億 3 千万円に到達し、今年も長野県に新業態の店舗を開店するなど地方での事業規模拡大を推進 している。今後も長野・信州をベースに企業規模の拡大を予定しており、移住者が地方で企業を育てるロールモデルに。
また、大量生産・大量消費の時代に何のためにモノを作って売るのかを問うような次の時代のビジネスのあり方を示す。

審査員総評

伊藤 羊一

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長/株式会社MVP代表取締役

審査に関わらせていただき3回目です。その間どんどん、審査が難しくなってきています。それは応募されているみなさんの取り組みのクオリティが全体的に高くなってきており、その中から受賞の取り組みを選出するのは、難しくなるわけです。逆に言えば、はたらきかたをデザインする、という取り組みが広く広がってきているのだな、ということなのだなと感じます。これからも一歩一歩、みんなではたらきかたをよくしていきましょう。

芹澤 雅人

SmartHR 代表取締役CEO

WORK DESIGN AWARDにご応募いただいた皆様、ありがとうございました。審査員として全ての応募書類に目を通しましたが、いずれの取り組みも、誰もがその人らしく働けるように環境を整え、活躍する人にスポットライトを当てていくことと真摯に向き合っていて、非常に感銘を受けました。本アワードをきっかけに、このような取り組みが世に広がり、日本の働き方をアップデートしていくことを、心より願っています。

浜田 敬子

ジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長/AERA元編集長

この賞の審査員は今年で3年目になりますが、毎年みなさんからのエントリーシートを拝見するとき、ワクワクします。
20年以上、働き方や企業改革の取材をしていますが、それでも知り得なかった事例に出合えるからです。最近の傾向として、業務効率化より、これまでチャンスに恵まれず、能力を発揮することができなかった人たちにどう活躍の場を用意するか、そんな取り組みが増えているなと感じています。
最近では企業はD&IからDE&Iに徐々にシフトしています。EはEquityで真の公平性と訳されることが多いのですが、まさに職場における真の公平性を実現するため、誰1人取り残さない社会を作るための取り組みが、このアワードによって評価され社会に広まっていくこと自体、審査員の1人として本当に嬉しく思っています。

松江 英夫

デロイト トーマツ グループ 執行役/デロイト トーマツ インスティテュート代表

今回初めて審査に関与させて頂き「働き方とは、人間の可能性を追求するバロメーターだ」と感じました。
高齢者、障害者、介護や福祉の現場に携わる方々など、これからの日本社会がより積極的に包摂すべき働き手の可能性を広げるべく、多様な知恵やアイデアに基づく取り組みが実践されていることに深く感銘を受けました。今後、AIやロボットとの共生を通して“人間らしさ”がより高まるような働き方が、この日本から続々と生まれることを期待しています。

馬渕 磨理子

日本金融経済研究所 代表理事/経済アナリスト

革新的な技術だけでなく、働く現場から出てくる“アイデア”こそが「イノベーションを起こす」のだと審査を通じて目の当たりにしました。成熟した資本主義社会において「働く」とは、効率化と生産性を突き詰めて成長を成し遂げるだけでなく、どう人間らしさを感じ、働くことを通じて自分の価値を見いだせるのかも問われています。ワークデザインアワードにご応募いただいた企業から、一人ひとりが大切にされる視点が、組織内にイノベーションを起こし、結果的に企業が素晴らしい有機体になっていくインクルーシブの姿勢や息づかいを感じました。こうした素晴らしい活動や視点が、他の組織にも広がっていくことを願っております。

主催者より

3回目の開催となったWORK DESIGN AWARD。
今年は106件もの取り組みにご応募いただきました。
お忙しい中ご応募いただいたみなさま、心からお礼申し上げます。
また、グランプリ・部門賞を受賞されたみなさま、本当におめでとうございます。

ご応募いただいた取り組みからは、人材不足への対応、多様な働き方の実現、さまざまな人が特性を活かしモチベーション高く働いてもらうためには?など、日本社会が直面する課題に、組織・個人ならではの解決策を見出し試行錯誤されていることを強く感じました。

回を重ねるにつれて、年々、社会全体にポジティブな気づきを与える取り組みに多くご応募いただけるようになっており、本アワードに集まった素晴らしい取り組みを広く伝えることは次の時代に向けた明るい兆しになるのではないかと考えています。
一方で、働き方に関する課題はまだ数多く残っており、今後もさらなる価値観のアップデートや解決に向けた模索が必要なのだなとも感じています。

主催である私たちSmartHRは、今後も働き方にまつわる課題を見つめ、社会を前に進める意義深い取り組みを広く伝えることに尽力し、コーポレートミッションである「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」の実現を目指していきたいと思います。

改めまして、今年ご応募いただいた皆さまありがとうございました!